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それからの七日間はあっという間に過ぎ去り、慈乃や子ども達が待ちに待った聖花祭当日となった。その日はいつも以上に空気が澄んでいて、いっそ神聖ささえ感じさせるほどだった。
慈乃がそのことを近くにいたウタセに話すと、彼は「気のせいじゃないよ」と朗らかに笑った。
「聖花祭だからね。花の加護が強くなってるんだよ」
ついでにいえば、ときおり空気がきらきらと輝いて見えるのも気のせいではないらしい。
初めての聖花祭に慈乃は小さな子ども達同様、目を輝かせていた。そんな慈乃を見てウタセは柔らかに笑むと「それ、文化祭の時のだよね」と慈乃の持っている松ぼっくりで作った小さな聖花の樹を模したものを指さした。
慈乃は軽く頷いた。
「あ、はい。自室に飾っても良かったのですが、せっかくなので皆さんの見えるところに飾るのも良いかと思ったので」
そんな話をしているとサーヤ、ヒイラギ、シキブが通りがかった。そして慈乃の手の中に収まっている小さな聖花の樹を認めると「あ!」と声をそろえた。
「それ、文化祭の時にボク達のところで作っていったものだよね!」
「……自分も、よく覚えてる」
「大切に持っていてくれて嬉しいですぅ」
文化祭のときは慈乃の精神状態がかなり不安定だった。それから秋を越え、冬を迎えて今に至る。その間に色々なことがあったが、振り返れば大切な思い出だと慈乃は懐かしくさえ思った。
「もちろん、私にとって大事なものなので。……ところでこれ、どこに飾りましょうか」
「ちょうどテーブルの上が寂しかったし、ここでいいんじゃないかな」
ウタセが食堂に並んだテーブルのひとつを指し示す。確かにテーブル上には何も物がなく、物足りなく感じた。
「そうですね」
慈乃の作った小さな聖花の樹がささやかながらテーブルを彩る。するとそれを見ていたライモがヨルメイとアスキに「わたしたちのも飾ろうよ!」と食堂を出ていった。しばらくすると彼女達は慈乃達がいる方へと駆け戻って来た。
「これも飾っていい?」
ライモが持ってきた松ぼっくり製の聖花の樹を掲げる。ライモの後ろにいたヨルメイとアスキも聖花の樹を手に、期待の眼差しで見上げてくる。慈乃は微笑み返した。
「もちろんです」
「これでテーブルの上も賑やかになるね」
ウタセも満足そうに頷いた。
そして慈乃はしばらくウタセやヒイラギ、ライモ達と談笑していた。
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