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すると食堂に勢いよくガザとトゥナが駆け込んできた。少し遅れて息を切らせたソラルも現れる。
「ウター!」
呼ばれたウタセがガザ達に方へ振り返る。
「おかえり。あ、ポインセチアもらってきてくれたんだね。ありがとう」
「おうよ!」
「手土産のクッキーも喜んでくれてたよ。ウタ兄によろしくって」
「セチア、元気にしてた?」
「ああ、元気そうだったぜ」
話の見えない慈乃が不思議そうに彼らの様子を眺めていると、ソラルが隣へやってきて事情を説明してくれた。
「セチアさんっていうポインセチアの花守がここの出身なので、ポインセチアをもらいに行ってたんです」
「ああ、そういうことですか」
もしかしたらテーブルの上に何も飾られていなかったのは、これからポインセチアを飾るためだったのかもしれない。
ウタセはガザからポインセチアの枝を受け取るとさっそく花瓶に活けてテーブル飾った。聖花の樹だけのときよりも華やかさが増したように思えた。
「さて、あとは夜を待つだけだね」
ウタセが手を叩くとガザはひらりと身を翻した。
「んじゃ、オレ達街に遊びに行ってくるな!」
「あ、待ってよ、ガザ兄!」
「ま、また走るんですか……⁉」
先を駆けるガザを追ってトゥナとソラルも走り出した。食堂の出入り口から顔を出して「廊下は走っちゃダメだよー!」とウタセが声をかける。
「ボクたちもそろそろ出かけようか」
「ああ」
「そうですねぇ。行ってきますねぇ」
ガザ達の姿を見て自分達も街へ行くことを思い出したのだろう。サーヤ、ヒイラギ、シキブもまた食堂を出て行った。
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