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そこにはジョンブリアンの色をした肩につく程度の髪の毛先を緩く内巻きにした女性、ソニアの姿が既にあった。駆け寄る慈乃にソニアも気づいたらしく、挙げた手をぶんぶんと大きく振っていた。
「シノちゃんだー! おっはよー!」
「おはようございます。ソニアちゃん、早いですね」
「うん! もう楽しみ過ぎてじっとしてられなくって!」
ソニアらしいと思いつつ慈乃が小さく笑うと、ソニアもまた嬉しそうに歯を見せて笑った。
「そろそろウィルくんとアキくんも来るかな?」
「そうですね。集合時間も近づいてきましたし」
そんなことを話していると、小丘の向こうからふたりの青年が並んでやってくるところだった。ひとりは見覚えのある苅安色の短髪の青年で、もうひとりは初めて見る鉛白色のくせっ毛髪をうなじで緩く束ねた青年だった。
「噂をすれば、来たね。おーい! ウィルくーん、アキくーん!」
ソニアの声は大きくてよく通る。小丘にまばらにいたひとびとが驚いてソニアを振り返るが、当の本人は注目されていることを全く気にしていない様子だった。最初のころこそ慈乃の方が恥ずかしさから身を縮こまらせていたが、慣れてきてからは苦笑を浮かべるくらいのものだった。
ソニアの声に気づいたらしい青年達は手を振り返しながら小走りで慈乃とソニアの元へやって来た。
「お待たせ」
「っす!」
「おっはよー! シノちゃん、紹介するね。この子がアキくんだよ!」
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