勇者のレシピ

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 そして、翌日。それ相当の必要な物の大きな荷物を持ち、馬車へと、運んでいた。 「シッカリやって来るんだよ。これ、お守りのクリスタル宝石のネックレス。一、二年分は、魔力が溜まってるから、もしもの時に、身を守る時に使いなさい」 「念のために、魔族スプレーも、これも一、二年分もな。荷物が多すぎるといざって時に、逃げられないから、本当は五、六年分を、荷物に入れたいところだが、我慢してくれ。ルルフ」 「ありがとう。お母さん、お父さん。私、頑張るから、大丈夫よ。変身魔法も誰よりも、上手なのは知ってるでしょ?」  私らは、小さい頃から変身魔法で、日常的に、魔族に変身をしている。人間と、バレないために訓練をして暮らしている。その村の街のなかで、とびきりルルフは、変身魔法が得意なのだ。そして、魔族の匂いのするスプレーをかけたら、鼻の効く魔族相手にでも多少は、誤魔化せる。  御風呂に入ったりすると、効果は、ほぼ、無くなってしまうので、注意が必要だが、無いよりかはマシなのだ。調合の仕方もわかるので、豆に造っておけば問題もない。  もう一つのお守りは、魔力を溜めておける鉱石の宝石だ。もしもの時に、反撃して逃げ切るために、溜めてた魔力を使うという物だ。使い方次第で、工夫が出来るので持ってて損はない。  使いきったら、また溜めておけば、繰り返し使えるので、結構便利な品物。  防御魔法のオンオフの、設定も出来る。 「行きたくない!! やだー!! やだー!!」 「本当に、往生際が悪いね。ほら、これ持ってて、ルルフちゃんと一緒に行き際に食べな!!」 「あっはは。ルークス、諦めて母さんの言う通りに、諦めて、資格を取りに街に出な。目立たなければ、心配しなくても、普通に帰って来れるから」  相変わらずのルークスは、街に行きたくないと駄々を捏ねて、子供のように泣き叫んでいた。  近くで、他のルルフ達と同じように街に行く、息子や娘の家族が、見送りに来ているので、ルークスのその様を、小さな子供達は笑っていた。 「行ってきます」  馬車が走り出すと、街が小さくなっていく。  ルルフには、小さいながらの夢があった。資格を取ったら牧場のミルクを使って、店を開いて料理を振る舞うこと。慎ましく、暮らしていければ、幸せなのだ。  ただ、問題だったのは、お城の護衛に受かったこと。給料も良かったので、駄目もとで、男性の魔族の魔獣の姿の写魂(写真)で、試しに書類を送ったら受かってしまったから。  女性の魔獣は、募集してなかったから、コレは、仕方なかったから。  ルルフの目的は、魔族の城で働きながら、調理資格を取る事と。  こっそり伝説の勇者のレシピ本を読むことが、目的だ。 「いってらしゃーい!!」 「気を付けなよー!!」 「魔族に捕まるんじゃないよー!!」  魔族で、料理が出来るものは、あまり居ない。  力こそが権力だと、勇者を倒した後に、人間を殺していったので、人が今までの料理の歴史も衰えてしまったので、料理の質が落ちてしまい、  そのまま生で食べるか。食材を焼く……、ぐらいの料理方しか、ほぼ、残らなくなってしまった。  なので、今は、人間を見つけると料理を作れるか、作れないかで、殺すか生かすかの、運命が決まる。  魔族だって、美味しいものが食べたいのだ。  だから、人間を捕まえて料理を作らせて奴隷にするものが魔族には、居るのだ。  お城に行けば、伝説の勇者が残していった料理のレシピの本の一つを読むことが出来る。だから、家族に内緒で、危険を心して行くつもり。  働くことは知ってるけど、そんな大胆な事をしようとしてるなんて知らない。
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