№14

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№14

スワさんが私たちの金縛りを破った。 「もう良いや、どうせ明日には言うつもりだったし。お前と上手くやれる人間はどういう奴かと思って。お前と俺って似ているから、お前の友達なら俺とも上手くやれるかと思ってさ。」 「は? 何言ってんの? これと浮気ってこと?」 私をまた指さして、マミがスワさんを睨みつける。 「は? 今後の女選びの参考だよ。お前が『イズミは何でも言いなりだ』って言ったから、どんな女かと思ってさ」 マミが焦り、困りが混ざった顔で私を見る。 私は立ち上がりおしぼりをテーブルの上にポトッと置くと、バッグを手に取りフラリと亡霊の様な足取りで店を出た。 不思議と怒りはなく、でも息が浅くて指先が冷たかった。 繁華街の明かりを頼りに腕時計を見ると20時まで10分あった。 マンガメイトに行けそうだと思った。 マンガメイトの入っているビルの中では閉店を知らせる音楽が流れている。 エレベーターで6階に向かう。 顔が熱かった。 30歳を過ぎても自分を守ることができずに本当になさけないと、俯いて黒いパンプスの先を見つめる。 私の脳内発声は過激だが、それが本当の声になることはほぼないのだ。
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