№16

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「カンダ君、おいで」彼の腕を掴んでエレベーターに引き込む。 カンダ君は何故か私の右手を取って握りしめた。 その手はしっとりとしていて温かくて大きかった。 そのまま会社の横にある公園までカンダ君の話を聞きながら歩く。 寡黙だと思っていたカンダ君はおしゃべりだった。 「僕は思ったことを全部言ってしまうんです。それで幼小中高大と人間関係が大変でした。だからもう会社では喋らない事にしようと決めています」 「ちょっと極端だね。でも私とは正反対だよ。私は思っても言えないことが多いんだ」 「ははは。見てて分かります、分かります」カンダ君は調子よく相槌を打ってくる。 「カンダ君、BL好きなの?」 「はい、結構好きです。少年漫画に比べて絵がキレイで。特にやかん先生はヤバいっす」 「私も実はBLマンガ、大好きなの」 公園の外灯の下のベンチに座る。カンダ君は私の方に身を寄せた。 アルコールの匂いと男の子の匂いがする。 「仕事が終わってからさっきまで、ここでハゲのオジサンと飲んでいました」 カンダ君は陽気に言う。 「え? 私が昼休みにあった人かな? すごくキレイな見本的ハゲだった?」
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