№3

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『神獣伯爵さまはネコの僕を離さない』は伝説のBLマンガだ。 私のBLマンガ道場へは入門は4年前だった。 「孫の顔が見たいわ」という母親のあからさまな催促から婚活を始め、週末は婚活パーティー、平日はパーティーで出会った人とデートした。 加えて、少なくとも週1回はより良い条件の男性と出会うために合コンにも行った。 男性に気に入ってもらえるように自分を飾り立て、性格、言動等を偽った。 母親の期待に応えるために私は頑張っていた。そんな時に母親に言われたのだ。 「毎日毎日違う男と会って、盛りのついた雌猫みたいで汚らしい」と。 お会いする男性とは誰一人として、そういう関係にはなっていなかった。 「全てはお母さんのためだよ」脳内で叫ぶ、そして言おうとした。 でも喉から何も出なかった。肩が何故か震え、口は涙の味がした。 私は婚活を辞めた。 飲み会やパーティーに費やしていた時間がポッカリ空いたが、特にやりたいこともなかった。 仕事終わりの時間つぶしに入った近所の本屋の新刊コーナーをサッと見る。 そこで素晴らしく美しい装丁のマンガから目を離せなくなった。
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