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№6
さわさわとする葉の隙間に夏の日差しがキラキラと光る。葉に遮られる空はど
うして輝いて見えるのだろうか?
ボンヤリ考え、おにぎり1個を米が甘くなるまでよく噛んで食べる。
目の前を上下共に煮物のような色の服を着た、猫背で禿げ頭の年配の男性が横切る。コンビニの袋をぶら下げている。
絵に描いたようなハゲ頭だなぁ、立派なハゲだ、ハゲの見本だな、と見ていないふりで、男性が視界から外れるまで観察した。
緑茶を一口飲み、ベンチの背に体をもたれると「うううっ」と呻く様な声が聞こえた。声の方を見ると先ほどの男性が倒れていた。
「ええっ、マジか?」脳内発声した。すぐに駆け寄る気にはならない。厄介だから勘弁してほしい。
誰かいないかと公園を見回したが、救助できるような人間は私しかいなかった。
道徳的な行動と割り切り、救急車を呼べるようにスマホをバッグから取り出しながら男性に近いた。
「だ、大丈夫ですか?」
「ううう」
男性は呻いているのか? ん? 酒臭い?
「の、のみすぎた……」
最悪。酔っぱらいのハゲオッサンを介抱する羽目になった。
公園の通路に転がしておくこともできないので、手は全く貸したくなかったが乱暴に引き起こして、木陰になっている芝生まで連れて行き木の根元にオッサンの体をもたれかける。
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