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№8
「さぁ?」と首を傾げて返事をする。
完全にヤバイ人だ、一刻も早く逃げなくてはいけない。
「行きます? 道徳的に助けて頂いてありがとうございます。お昼休みでしたね? 貴重な時間を割かせて本当に申し訳ないですね。お礼は予言でいいでしょうか?」
「よげん?」繰り返す。ヤバイ人はヤバイ事も言う。
「天啓の事ですよ。仕事は残業になりません。何かをお迎えに行く用事がありますね? キチンとお迎えに行ってくださいね。絶対にね」と人差し指で私の鼻を突こうとする。
バシッと右手で蠅のように指を払いのける。言うこと為すこと全部気持ち悪い。
「あとアドバイスです。チャンスの神様は前髪しかありません。グッと掴まないとダメですよ」
「オッサン、えぐい位のハゲで前髪どころじゃないけど」と脳内発声してジロっと自称神を見つめる。
「私ですか? 私はチャンス担当課の神ではありませんから前髪は必要ありません。」
「チャンス担当課? 前髪は必要ない……」
気になった言葉を無意識に復唱していた。担当する課に関わらずに頭髪は欲しい。
「昔は私だって豊かな髪でしたよ」
あれ? 思ったことが伝わっているのだろうか。
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