№9

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№9

「間もなく休憩時間が終わりますよ。さぁ行ってください」バイバイと手を振って神はゆっくり横になった。 「吐いて窒息するかもしれないから、横にならない方がいいですよ」と声をかける。 「大丈夫、大丈夫。僕、生きてないから」 目を瞑って言うとイビキをかいて寝始めた。 生きてない? 嘘つきにも程がある。完全な神気取りのヤバイ人だ。 腕時計を見ると午後の始業が間近に迫っていた。小さく駆け足でオフィスに戻った。 午後も黙々と資料をまとめる。 最近、とあるクレームが多く発生した。製品の全回収の可能性もあり、急遽工場サイドとの打ち合わせをすることになった。 今回のクレームは原料から発生している可能性もあるため、そちらも調査も行っている。原料発注担当の入社2年目のカンダ君が根気のいるデータ収集と解析をコツコツとやっている。 カンダ君はとても寡黙だ。 1年半以上、同じフロアでいるが仕事以外の話はしたことがないが、その仕事ぶりから優しく真面目な青年なのは知っている。 彼も私と同じで没個性が個性という感じに見え、勝手に親近感を抱いている。 17時を過ぎた頃、電話中の課長が大きな声を出した。
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