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古いアパートなので、階段は所々に錆がきている。
すると目の前に3つの選択肢。
1・バス停まで全力で走る
2・家へ引き返し2度寝をする。
3・時間があるのでゆっくりと歩く。
時計は確認していないが、バスには充分に間に合うはずだ。
僕は3を選択することにする。
3という数字をじっと見つめると、『時間があるのでゆっくりと歩く』という文字が赤く点滅する。
僕の体は選択肢通りにゆっくりと歩き出す。
やはりそこに僕の意思は無い。
意思は無いが、当然ながら体は動いているという不思議な感覚。
表現するならば、夢の中にいるような気分ともでも言えばいいだろうか。
バス停に着くと、僕の意思は突然体へと行き渡る。
時計を確認すると、いい時間だったようだ丁度バスがやって来る。
バスに乗り、丁度目の前の2人掛けの席が1席だけ空いていたので座る。
朝ということで、学生や会社員が大勢乗っていて、こうやって席に座れるのはまれだ。
僕が座ったことで、満席となった。
幾つかのバス停を過ぎた頃、一人の年配の男性が乗車してくる。
杖を一定のリズムで突きながら、僕が座っている席の真横に立つ。
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