第二章16「強い者と弱い者の証明」

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 廊下や下の階にいた手下達が外に飛び出し、窓から矢を放ち応戦している。ざっと見ても三十人はいた。  いつの間にか随分増えたものだ。  仲間は、別に作ろうと思って作ったわけではない。弟子にしてくれ、仲間にしてくれとかなんとか言って勝手についてきて、いつの間にか結構な人数の団体になっていた。タクミの周りで勝手に作られたのだから、自然とタクミがその集団のリーダーになってしまったが、タクミにとっては特に仲間などという特別な意識は持っていない。死のうが死なまいが、さしてどうでもいい存在たち。この集団に名前がないのがその証拠だ。  命令して動いてくれるから利用しているだけで、手下という方が正しいかもしれない。彼らは勝手に盛り上がって、タクミの仲間の印だとか言ってキツネの面まで作って配る始末だが。馬鹿らしい。  けれど、仲間を作って得をしたこともあった。カグネ王国にはいくつかタクミやセンたちのように独自の集団が存在している。だからこそ彼らと大人数の戦闘になることはしばしばあった。今まで一対一での戦いしかしてこなかったタクミにとっては、その大乱闘はとても楽しい遊び場だった。そこではセンみたいな強い奴とも戦えたし、大人数での戦いはまた一対一とは違った戦い方を強いられてワクワクしたのだ。タクミにとってはそれだけが僥倖だった。  だから仲間が勝手にできても放置していたのだが、随分な人数になったものだ。
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