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ユキの言葉に意味が分からず首を傾げながら、センは頭をかいて隣にいるスバルを見た。
「……なんか、俺が思ってたよりお前らってややこしいのな」
「あぁ? ……あいつとなんか話してたのかよ」
スバルはセンの言葉にグッと眉を潜めて睨むようにセンを見た。それにセンは苦笑いを浮かべる。
二人の間に色々あった後だ。何を話しているか気になるのかもしれない。
教えてやってもいいが、ここでセンから話すのはそれこそ無粋というものだろう。
恋やら愛やらは全くわからないが、空気は読めるつもりだ。
「別にィ? そこらへんはお前らでなんとかしろッ!」
「いってぇ!! はあ!?」
センはスバルの背中を思いっきり叩いて誤魔化したが、あまりに思いっきり叩いたものだからスバルは前によろけ、センを睨みつけた。わけがわからないと言った表情だ。
その反応にセンはわはははっと笑い声をあげ、スバルの肩に手を回した。
「頑張れよ相棒! 俺はお前のこと大好きだぜ!」
「……なに急に気持ち悪い事言ってんだ」
「照れんな照れんな!」
大好きだと言った途端、スバルは肩に手を回していたセンの手を思いっきり振り払った。今ではその行動もスバルの照れ隠しだとわかる。嬉しいのなら素直に喜べばいいものの。
なるほど。スバルのこの素直じゃないというか、不器用なところが、あの二人の関係をややこしくさせているのか。ついでにあのユキも色々思い込んで、勘違いをしていそうだ。
スバルとユキはどこか似ている。
だからこそのすれ違いというのだろうか。
センが思ってた以上にスバルとユキの間は複雑な糸が絡まり合っているようだ。
「と、そういやあの女なんか言ってたな。三本先の木のところにいいことがあるとか……行って大丈夫なのか?」
ふと先ほどユキの言っていた意味深な言葉を思い出し、その場所に疑いの目を向ける。今は共闘しているが、ここで一網打尽にしようと考えている可能性はなくはないのだ。
「あいつはそんな小賢しいことできるような奴じゃねぇよ。行くぞ」
そんなことを考え動けないでいると、スバルはスタスタと先に進んでいった。そんなスバルをセンは慌てて追いかけながら心の中で突っ込む。
それぐらい知り尽くしてるのに、なんでそんな複雑な関係になったんだ。
なんて思いながら迷いなく進むスバルの背を追いかけ呆れた視線を向けた。
すると、ユキの言っていた三本先の木のところにつき、その木の裏側を覗いてみた。
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