第二章19 「真相と愛情」

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@@@@@@@@@  ゆっくり、ゆっくり。  身体が宙を漂い、当てもない暗闇を彷徨う。遠くで名を呼んでいた愛おしい人の声は、もう聞こえなかった。 『ユキ』  想い人の声ではない。  穏やかで、柔らかい、優しい声。  そっと目を開く。  街の中にいた。  ここは知っている。コントラス王国の王都ランタルだ。  残像のように通り過ぎる群衆の中、一人の少年が、いつの間にか幼子のように小さくなったユキの手を握る。  逃げるように早足で歩くその人を、何と呼んでいたのか覚えていない。    大切にしてくれた人だった。  優しくしてくれた人だった。  大好きな、人だった。  どこにいくの?と聞くと、その人は振り返り、跪いた。  目線を合わせてくれてるのに、顔は白で塗りつぶされ、全くわからない。 『君が笑っていられるところさ』  顔がわからないのに、無理して笑っているのがわかるのは、何故なのだろう。 『君だけは僕が守るよ』  約束だ。  そう言ってその人はユキの頭を撫で、お姫様のように手を掬って歩き始めた。  この人が約束を破ったことなんて、一度もなかった。  絵本を読む約束も、一緒に寝る約束も、ご飯を食べる約束も、プレゼントをくれる約束も。全部守ってくれた。  だから安心していた。  優しい手が、離れていく。  人の波に飲まれ、大好きな背が遠くに消える。  振り返ったその人の髪は  ユキによく似た白銀だった。
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