第二章19 「真相と愛情」

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「……ぅ……」  風の音に攫われそうなほど、小さな呻き声にスバルははっと顔をあげた。  少し身動ぎをして、瞼を震わせているセトウが目に入り、スバルは急いで駆け寄った。 「セトウ。わかるか?」 「スバル……でん……」  セトウはゆっくりと、微かに目を開けた。呼びかけに答えた声はかすれている。けれど、この反応はセトウが生きている証だ。スバルはほっと息を吐いた。  スバルは近くにあった椅子に座り、虚ろな目のセトウがスバルの方に僅かに顔を向けた。 「……俺は……」 「タクミにやられたんだ」 「……そう、ですか」  セトウは覚えているのかいないのか、はっきりしない返事をした。起きたばかりでぼうっとした様子だ。痛ましくなって、スバルはぐっと唇を噛む。カグネ王国の医療措置がよかったのか、それともセトウの体力のおかげか、奇跡的に意識を取り戻したとはいえ、セトウが重症なのに変わりはない。そうさせてしまったのは、まぎれもないスバルだ。 「急にこんなこと言っても、混乱するかもだけどな。言いたいことがある」  スバルは椅子から立ち上がり、セトウに頭を下げた。 「悪かった。こうなったのも、お前がそんな怪我を負うことになったのも俺のせいだ」  連れ攫われた後センに協力していたこと、古城での戦闘でスバルもその場にいたこと、彼らを逃がしたこと。スバルは今までのことをすべて語った。 「俺が勝手をしたから、判断を間違えたから、お前はこんな目に……」  過去の自分を悔やんでいると、セトウの口から思いもよらぬ言葉が紡がれた。
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