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「二つ、言いたいことがある」
アルは立ち上がると、懐に手を入れた。
「一つ。あなたは元々、老女だ」
「……え」
掠れた声が出る。
「一つ。リダは悪くない?全ての元凶は彼女にあるのに?」
拳銃を取り出すと、リダに向けた。
迷いなく引き金を引く。倒れるリダ。数秒遅れて、エマは叫んだ。
「自分が何をしたのかわかっているの?!」
「だから彼女こそが魔のものなんだよ」
「嘘よ!だって私は血を吸って……」
「逆だよ。リダの首筋の穴からはあなたの精気が感じられた。吸っていると思わせておいて、その実、吸われていたんだ」
「そんなはず……」
「ぐっ」
アルのくぐもった声。
彼に目をやれば、首筋にリダが噛みついていた。
「お喋りはもういい?」
アルがゆっくりと倒れる。
リダは口元を拭うも、まだ血が付着している。
「あーあ。もっと楽しめると思っていたのに残念」
「リダ?」
「なぁに?お嬢様」
「あなた、撃たれたんじゃないの?」
「撃たれたわね。痛かった」
普通は痛いどころでは済まない。
ここにきて、ようやくアルの言葉を信じることができた。
そんな彼は動かない。
「魔のものなの?」
「そうよ。手向けに昔話をしてあげる」
そうして、リダは鼻歌交じりに語りだす。
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