Bounty hunter

6/15
前へ
/15ページ
次へ
鏡台の前に座るも、すぐに立ち上がる。 窓際に行き、次にベッドに腰掛け、それでも動悸は治まらない。 エマは自室に戻ってからも落ち着かなかった。 今度は室内をうろうろし始めた。 控えめなノックの音がする。 大袈裟なぐらいに身体が跳ねる。 もしアルだったら……そう思うと怖かった。 「……はい」 絞り出すような声を合図にドアが開く。 「お嬢様。大丈夫ですか?」 姿を見せたのがリダだと知ると、身体から力が抜けた。 「聞いて、リダ。アルは賞金稼ぎらしいわ。しかも魔のものを専門としているんですって」 リダの眉がピクリと動く。 部屋に入り、ドアを閉める。 「私を狩りにきたんだわ。噂を聞いたって言っていたわよね?町の人たちに吸血鬼と呼ばれているのも知っているんだわ」 「安心してください。私がお守りしますから」 リダは自身の洋服のボタンを外すと、首を露にした。 「私の血をお飲みください。今のお嬢様は気が動転しているのです。先ずは落ち着いてください」 「でも」 「全てお任せください」 さあ、とさらに襟首をひろげる。 エマは、ゴクリ、と喉を鳴らす。 リダに近づくと首筋に顔を埋めた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加