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「何でこんなことをするの?」
「何で?おかしなことをお聞きになりますね。そんなの決まっているじゃないですか。始末する以外に何があるのです?」
冷えた声に萎縮する。いつもの彼女らしくない。
「やらなければやられるのですよ?」
「で、でもヤンが私の友達だってリダだって知っているでしょう?」
「〝だった〟ですよ。気絶する前に問い質したところ、賞金稼ぎを雇ってここへときたのだと口にしたのです。つまりは敵なのです」
「そんな?!」
「ですよね?賞金稼ぎさん。お嬢様には指一本たりとも触れさせません、と言いましたよね」
アルは、くく、と喉を鳴らして笑った。
その様子に二人は怪訝な表情を見せる。
「エマ。これを」
彼が投げてきたものを咄嗟に受け止めた。
コンパクト鏡だ。
そこに映る自身を見て唇を噛む。
白髪のシワだらけの老女が映っていた。
「っ!」
エマはコンパクト鏡を床に叩きつける。
「血を吸っていないと、こうして老化してしまうのよ。厄介な身体だわ。でもリダは何も悪くないの!私を思って仕えてくれているだけ。お願い。彼女には何もしないで」
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