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◆◆◆◆◆
「もう先生じゃないぞ」
久次は背もたれの側に立ち、シートに頭を付けたまま目を瞑っている彼を逆さまに覗き込んだ。
「―――クジ先生……!?」
逆さまに見開いた眼が、ますます大きくなっていく。
「焦らせやがって」
久次は、「は――――っ」と長くため息をつくと、瑞野の後ろの席に座った。
「―――な、なんでここに……?」
「なんでってお前が消えたからだろうが!」
「探しに来てくれたの?」
瑞野が振り返りながら目を丸くしている。
その指にはなぜかこけしのキーホルダーが握られている。
「ふっ」
久次はそれを見て笑った。
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