夕立

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 降りしきる雨の中、マンションにある駐車場の屋根下で雨が止むのを待っていた。 「傘、忘れたの?」  走ってきたのだろうか。少し息を切らしながら向かいのマンションから出てきた君。手には俺に貸すための傘を持っている。 「ああ、忘れたんだ。急に降ってくるから濡れちまった」   十分前に君のお母さんが俺を見ていたことも、君の部屋から、この場所がよく見えることも知っている。  雨が止むまで君と話したい。
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