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麻莉は検査に行ってしまった。
「・・・多摩の東亜に居るんだと思っていました」
「今日は学会があってこっちに来ていただけですよ…」
「槇村先生…」
「サンキュー…津村さん」
「・・・」
俺を顔を見て、槇村先生がニヤリと笑った。
「おめでとう…出てるよ…妊娠反応…ハネムーンベビーかな?」
「・・・しかし、ハワイから帰って来てまだ・・・二週間ぐらいしか…」
「それが分かるんだよね…」
「・・・」
「・・・妊娠四週目ってとこだな…まだ・・・検査しても赤ちゃんは見えないと思うから…来週か再来週あたり…来て…神戸社長」
「・・・分かりました…」
「何だか浮かない顔だな…まぁ~キモチは分かるよ…神戸社長…もう少し甘~い新婚生活送りたかったんだよね…」
槇村先生に俺のキモチが筒抜けだった。
「でも・・・結構ハネムーンベビーも多いんだよ…海外に出ると二人の愛も燃え上がるから…二人も例外じゃないってコトだ・・・」
「・・・」
戻って来た麻莉と顔を合わせた。
「浩明さん…」
「訊いたよ…赤ちゃんのコトだろ?」
「その気分の悪さは妊娠からと言うコトで…薬は処方しないよ…お大事にね…麻莉さん」
「ありがとう御座います…槇村先生」
「あの…出来れば…連絡先教えてください!!槇村先生」
俺は踵を返す彼の白衣の右袖を掴んだ。
「えっ?東亜の電話番号が知ってるでしょ??」
「病院の電話番号じゃなくて、貴方の個人的な連絡先です…」
「・・・神戸社長…」
「俺のも教えて差し上げますから…」
「・・・」
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