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白いシャツに黒のパンツを穿き、タブリエエプロンをした私をジッと見つめる。
「君はヘンリーズコーヒーの従業員か?」
「あ、はい…バリスタの佐久間麻莉です。よろしくお願いします…」
私は立ち上がって、丁重に挨拶をした。
「俺は『帝商フーズ』代表取締役・神戸浩明だ…よろしく。佐久間さん」
「『帝商フーズ』って…あの『セボン』の…」
責任者かと思っていたが、まさか…一流企業の『帝商フーズ』の社長とは…
余りにも腰が低く、フレンドリー過ぎて、社長には見えなかった。
私の思う社長はもっと年配で偉そうにしているイメージしかなかった。
「すいません…初めから…社長だと分かっていれば…もっと…」
「・・・構わないよ…」
神戸社長は軽く笑って私を取り成した。
「社長…」
秘書らしき人が神戸社長の元に来た。
「あ・・・弘瀬(ヒロセ)か…」
二人で何やらこちょここちょこと会話をする。
「分かった…じゃ佐久間さん…お仕事がんばって…」
「あ、はい・・・」
彼は私に労いの言葉を掛けて、秘書と一緒に食堂を出て行った。
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