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「本当にいいんですか?」
給料前で金欠だった私には神戸社長の厚意は有難かった。
「構わない…君だって…あらぬ濡れ衣を着せられて、辛い思いをしたんだ。その詫びだよ。俺が謝罪する…すまない…佐久間さん」
「じゃ私…遠慮はしませんよ…」
「あぁ~いいよ」
私は再び店内を回り、値段が張り、今まで買うのを躊躇っていた高級品ばかりをカゴ一杯に詰め込んだ。
『セボン』商品の詰め放題が完成した。
我ながら買いすぎた。
「これで許してくれるの?」
彼はクスクス笑いながらカゴを見つめて念を押した。
「あ、はい…」
「貴方には遠慮と言う文字はないの?」
鈴木店長の方が呆れ、私を詰った。
「いいよいいよ・・・俺の言い出したコトだ・・・」
神戸社長が鈴木店長を窘め、カゴ一杯の商品の会計をするように命じた。
「四万三千三百円になります…」
やはり、高級ワイン三本とキャビアが会計を跳ね上げたよう。
「じゃカードで」
神戸社長は私の目の前でブラックカードでお会計。
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