出会いは突然に

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出会いは突然に

新規店舗の打ち合わせの為に、友人の相沢 春樹の経営するドリーム不動産を訪問した。 飲食業界は、三年サイクルで流行が変化するがそのサイクルは年々多様化している。SNSなどの影響力を使い業界も積極的に計画的に流れを作る事もある。 俺は、会社が大きくなり使える資金にも余裕が出てきたのもあって、仕掛ける側になる事も多くなってきた。 自分の会社の業績は上々だが、油断は禁物で攻める経営でいる必要があると俺は考えている。だから今回も少し大がかりな仕掛けを 作り、先駆けて店舗を企画する為に信用のおける会社を選ぶ必要があった。 相沢とは、異業種交流会で出会い同じ年頃もあって性格は違うが、意気投合して仲良くなった男だ。 彼は、真面目で彼が経営する会社も業績は順調で常々一緒に仕事をしてみたいと思っていた。 「一条社長。わざわざこっちまで足を運ばせて申し訳ない。」 「いや、色々話をしたかったから。」 通された応接室にお茶を運んで来た事務員の女がチラチラ俺を見ていたが、いつもの事だと無視をした。 扉の向こうからキャアキャアと騒ぐ声がしたが俺は気にしないが、相沢が申し訳ないと気にしていた。 「ああ。慣れているから気にならないよ。」 「慣れてるって・・確かに男の俺から見てもイケメンだよ。」 「男に言われてもなぁ。それでいい物件あった?」 「あったよ。この物件は駅近でこっちは隠れ家的な場所かな。」 相沢は、俺がオーダーした条件を上手く汲んで何件か探し出してくれていた。 今回は、駅近では台湾料理と茶芸の店を隠れ家的な場所では和風の建物の中でのイタリアンを展開するつもりだった。 「この企画は同時進行なのか?」 「博打になるけど、今回はドラマに協賛したから回収5年の計画だよ。」 駅近での展開は、台湾料理やスイーツも手軽にテイクアウトも出来る店にするつもりだ。 何件かを実際に見たいと俺が言ったら相沢は、その場で見に行くかと言って、フットワークも軽く現場に向かう事になった。 会議室を出て事務所に顔を出した相沢は「沙羅に帰りは待っててと伝えて。」と事務員に伝言を依頼してから俺達は一緒に出る事にした。 その時は、相沢の女が事務所で働いているのかと思っただけで気にもとめなかった。 現地で物件を見て人の流れも感覚で確認して直感で数件の契約を決め契約の為にもう一度相沢の会社に戻る事になった。
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