出会いは突然に

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「即断即決とは恐れいったよ。」 「時間が勝負な時もあるから今回は、仕掛けているのもあるし店舗選びに時間をかけすぎたく無いんだ。設計と施工もそっちで案があれば次はそれで。」 「解った。一か月は、いらないと思うけどイメージ図が出来たら連絡するよ。」 「よろしく頼む。」 お互いに砕けた口調になり無駄な事もなく仕事が進むのは気持ちがいいものだ、お互いの業種は、違ってもお互い無駄な事が嫌いなのはどこか同じだと思う。 俺が、色々詰め込んだのもあったが時間は18時を過ぎた頃だったから相沢を食事に誘う事にした。 「ああ、彼女が良いって言ったら行くよ。」 「彼女か何かか?一緒に行けばいいじゃないか。」 「俺の彼女じゃないよ。妹みたいな子なんだが一人で帰らせるわけにいかないから。」 俺は、会社を出る時に相沢が事務員に伝言をしていた事を思い出した。 相沢がそう言うから俺は、誘ってみると言って彼女に声をかける事にした。 「名前は?」 「沙羅だよ。今待ってるだろうから呼ぶよ。」 相沢が彼女を連れて会議室に入ってきた時は、普通のOLの女だと思ったが初夏なのに彼女は、長袖のブラウスを着ていた。それに違和感を感じはしたが、事務所が意外と冷房で冷えるのかも知れないと思ってその時はスルーした。 「春樹さん。お仕事なら私は、自分で帰るから気にしないで。」 「ダメだ。俺が送るから。」 一見したら恋人同士にも見えなくもない、兄妹だと言われたらそうとも見える二人だった。 決して弱々しくは無い子のようだが、相沢が過保護なのか?と思いながら二人のやり取りを見ていた。 そしてタイミングを計って俺は彼女に声をかけた。 「俺は、一条貴臣と言います。君は?」 「私は、三島沙羅です。この度はご契約有難う御座いました。」 笑顔で綺麗なお辞儀をする子だなと俺は思った。 「こちらこそ、探していた条件の物件でしたので。」 彼女は、身長は155㎝くらいか低いと言えば低いが華奢な感じの笑顔の可愛い子だ。しかもまったく媚びた感じがない。 ブラウンの髪は、肩より少し下で少し軽くパーマをかけている感じで目は、色素が薄く茶色に近いし肌の色は、白く見た感じハーフなのかと思える容姿をしていた。 「これから、食事に行こうという話になったんだが君も行かないか?」 俺がそう誘うと彼女は「私は結構です。そう言う事でしたら私は帰りますね。」と断られた。 俺が女性を誘う事も無かったが断られた? 彼女には、悪気は感じられないしかし・・ああ、仕事の延長だと思ったのか? 「沙羅それは駄目だ!一条社長今日は、彼女を送るので食事は別の機会にでも。」 「ああ。そうしょうか急だったしな。」 俺達がそう話していると困った顔をした彼女が相沢のスーツの袖を引っ張りながら「仕事じゃないの?」と言っている。 「仕事じゃない。ただの食事だよ。相沢社長また次の機会に。」 俺がそう言うと相沢はすまないと謝っていたが俺はそれどころじゃなかった。 俺が・・・断られた。 女を誘ったのも初めてだったし、しかもただの食事だ。 別に付き合おうと言ったわけでも無いのに彼女に断られた事が意外にショックで悶々としていた。 一人で軽く食事をして行きつけのバーに行ったが、そのバーでも悶々としていて、誘ってくる女の誘いにも乗る気にもならず自分のマンションに帰る事にした。
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