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会いたいと思う女
マンションに帰り部屋着に着替えてベッドに入るが眠れそうに無かった。
バーで出会った女も遊び慣れた女の様だったから俺が言う条件をのんだだろうし、誘いに乗れば良かったと今さら後悔した。でも、何故か思い出すのはバーの女では無く違う女の笑顔がチラつく。
「何故、気になるんだ?」
抱いた女でさえ一晩で覚えてもいないのに何故か彼女が、頭から離れずベッドに入っても眠れずにいる。
仕方なくグラスに寝酒のスコッチを入れ飲んでみるが、余計に彼女の姿を思い出すから質が悪い。
確かに可愛い子だったが、バーで出会った女や今までの女と違って女としてはまだ成熟していないような子だった。
遊び慣れた美女が好みだと思っていた自分の趣味では無い女が、何故これほど気になるのか、その方が気になってきた俺は理由を考えてみた。
一番は「媚びない笑顔」だったが次には、自分から食事に誘って断られるとは思わなかったのに彼女は、平然と断ってきた事かもしれない。
自分から女を誘う事など食事と言えどなかったし、話の流れで食事に行く事があっても自分から誘わなくても相手から誘って来る事が普通だった。
「誘い方が悪かったのか?」
女を誘った事など無いから誘い方に問題があったのだろうかと、考えても答えが出ないその答えの出ないままいつの間にか眠ってしまっていた。
早朝に秘書の服部省吾が「何時まで寝ているのですか?」と起こしにくるまで寝ていた。
服部省吾は、色々小言が多い男だが秘書としては有能な男だ。
「んっ・・何時だ?」
「もう八時になります。今日は午前は会議ですその後は、会食で夕方は新規店舗の打ち合わせです。」
「会議を十時にしてくれ。着替える。」
そう言って、シャワーを浴びて着替えをしながら、服部に昨日食事に女を誘って断られた話をしてみたらやはり、予想通り服部も「嘘でしょう?」と言うから俺の誘い方が悪かった訳では無さそうだった。
「それで、社長はそれを気にしているのですか?」
「ああ、少しな。」
「少しですか?」
「正直初めて断られたから気になってる。」
身支度を整えて車へ乗り会社へ向かう途中も服部は、根掘り葉掘り昨日の出来事を聞き出してきた。
「それでバーで誘いに来た女性にも手を出さずに眠れなくて、酒を嗜んで朝起きれなかったのですか?」
「まあ、そうだな。眠れなかったんだ。」
それに、彼女が気になるとは言えなかった。
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