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それから何度か相沢の会社を訪問した時に彼女が仕事をしている所を見るが彼女は、俺に気がついて笑顔で頭を下げるが必要以上に近寄って来ない。
その代わりに事務員の女性が何人かメモに自分のアドレスや電話番号を書いて渡して来たが流石に取引先の従業員に手は出さない。
放置していても良かったが、君達には興味が無いと彼女達にはハッキリと言う事にした。
毎回曖昧にしていたのにいきなりハッキリ拒絶する態度を示した俺を変に思ったのは服部だった。
「社長大丈夫ですか?体がおかしいのでしたらすぐ病院を予約します。」
何故、俺が女を拒絶しただけで病院なんだよ?
「あのな俺は、誰でも手を出すわけじゃ無いぞ。それに、興味が無いとハッキリしておかないと相手が変に期待するだろう?」
「確かにそうですが・・今までは放置でしたから。」
服部が言いたいのは、興味がある女は抱くが興味の無い女には、配慮なんてした事が無かったと言いたいらしい。確かにそうなだけに何も言えない。
興味がある女と言うのは、性的に反応するかどうかで一度抱けばもう興味は無くななる。たまに会社に電話してくる女もいるが、服部が上手くあしらってくれていた。
初夏から夏になって、相沢の会社には何かと理由をつけて訪問している。
何故自分が、そこまでしてしまうのか自分では全く理解出来ないが服部は、仕事さえしてくれればどうでも良いですが社長は、本当に気が付かないのかと意味ありげに聞いてきた。
「昨日の沙羅さんの服は何色でしたか?」
「たしか、薄い紫のカーデガンと白いブラウスにひざ丈のフレアスカートだった。」
と即答した時自分でハッとした。
女がどんな服装だったかなど覚えていた事なんて今まで一度も無かったのに、彼女の服装や髪型や唇の色でさえ覚えている。
どう言う事なんだ?
俺は、自分で自分の事が解らなくなったが、そこに服部が衝撃的な一撃を食らわせてきた。
「社長は、彼女に恋をしているのではないですか?」
「はあ?なんだそれは、それは無いだろう。」
「そうですか?」
その時は、服部にそう指摘されてもそうだとは思えなかったが、この後に相沢の会社に行った時に俺自身がそれを認めるしかない事が起こった。
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