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第2章 子供じゃないんだから!
シャルとの同居生活を始めるにあたり、必要なものがあると考えた僕は、シャルを連れて外に出た。
午後になってから出かけたものの、シャルは特に眠そうな様子はなく、キョロキョロしながらあちこち見て回っていた。
外に出てすぐにわかったことだが、シャルの姿はどうやら他の人には見えていないらしい。
僕がシャルに話しかけているところを、周囲の人に不審そうな目で見られた。
それに、そもそもこんな小さな人間が宙を浮いていたら、それだけで騒ぎが起きてもおかしくない。
「ねぇ、シャル」
「なーに?」
僕はハンズフリーで電話をしているふうを装ってシャルに話しかける。
僕は小声であるのに対して、シャルは外でも変わらず大きな声で話す。
なんだかズルい気がした。
「どうして他の人にはシャルの姿が見えないの?」
「わかんない。見習い夢使いは、人間一人とだけかかわりが持てるって教わったよ」
「教わった? 夢使いにも学校みたいなものがあるの?」
「当たり前でしょ。人間だって同じでしょ」
人間の世界との共通部分がなかなかハッキリしない。
とりあえず、僕はシャルが見える唯一の人間であることが確定した。
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