第2章 子供じゃないんだから!

1/18
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ

第2章 子供じゃないんだから!

 シャルとの同居生活を始めるにあたり、必要なものがあると考えた僕は、シャルを連れて外に出た。  午後になってから出かけたものの、シャルは特に眠そうな様子はなく、キョロキョロしながらあちこち見て回っていた。  外に出てすぐにわかったことだが、シャルの姿はどうやら他の人には見えていないらしい。  僕がシャルに話しかけているところを、周囲の人に不審そうな目で見られた。  それに、そもそもこんな小さな人間が宙を浮いていたら、それだけで騒ぎが起きてもおかしくない。 「ねぇ、シャル」 「なーに?」  僕はハンズフリーで電話をしているふうを装ってシャルに話しかける。  僕は小声であるのに対して、シャルは外でも変わらず大きな声で話す。  なんだかズルい気がした。 「どうして他の人にはシャルの姿が見えないの?」 「わかんない。見習い夢使いは、人間一人とだけかかわりが持てるって教わったよ」 「教わった? 夢使いにも学校みたいなものがあるの?」 「当たり前でしょ。人間だって同じでしょ」  人間の世界との共通部分がなかなかハッキリしない。  とりあえず、僕はシャルが見える唯一の人間であることが確定した。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!