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◇
優が黒ずくめに警告している時、藤井もまた、眼前の黒ずくめと対峙していた。
「旦那、この爆発はアンタらの仕業か? 景気がいいねぇ」
敵は答えない。警棒を構えて、距離を詰めてくる。
煙を感知したスプリンクラーが作動し、水が噴き出した。
「その格好もイカしてるな。おっとこいつは死語か? ただ一般人を巻き込むのはいただけねえ。このままじゃ仮装パーティーならぬ、火葬パーティーだ。なぁ?」
黒ずくめは無反応だ。
「何とか言えや!」
藤井は黒づくめの肩を掴むと、力任せに壁に叩きつける。さらに両手で相手の頭を掴むと、頭突きを喰らわせ、ぐらりと体制を崩した対象の腹に膝蹴り、そして腕を取り、一本背負いを決めた。
畳みかけるような連続攻撃に、黒ずくめはむくりと起き上がると、何か? と言わんばかりに、首を鳴らしてみせる。
「特殊素材のラバースーツか。ただのコスプレじゃないようだな」
藤井はネクタイをゆるめ、軽口を叩きながらも考える。
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