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「うっひゃっひゃっひゃっ、ひゃっひゃっひゃっ。ねえ、罪もない一般人を殺しちゃったのはどんな気分? ただキミをここに誘導しただけの男を殺しちゃってどんな気分?」
優は利き手を使えるようスマホを持ち換えて、銃に手をかける。
「どんな気分? ええ、罪もない一般人を手にかけてしまって、罪の意識で押しつぶされそうよ」
「おっほー。心に抱える罪悪感、されど目覚めた解放感? そしてぶっ放す果ての絶望感っ! いいじゃないいいじゃない」
「……仕方なかったの。ナイフと仕込み針を持っていたんだもん。博之さんが危ないと思って、あたし、とっさに──」
「どーすんのっ♪ 十七歳にして人生お先真っ暗じゃん。はっはぁ!」
肩を震わせてガクガクと震えていた優が、こらえ切れず噴き出した。
「ぷくく、あっはっはっ! あーダメね、ダメだめ、我慢できないっ」
「……んん?」
「罪もない一般人を殺した罪悪感? 笑わせないで頂戴。そんなもの、あるわけないでしょ?」
「おいおいぃ。まさかキミ、アレか? 快楽を満たすために殺したとでも?」
「じゃなくて──彼らは命令されたのか好奇心でそうしたのか知らないけれど、戦場に武器を持ち込んで、私たちは無関係ですって言い訳は通じない。そうでしょう?」
「しかし彼らは、脅されていたかもしれないよ?」
「向こうの事情は知らないわ。だけど本当に本気で助けを求めるのなら、彼女の足より、まず武器を捨てることを優先すべきだったわね」
「……ふむぅ。正論をご清聴するよ」
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