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「そうだな。こっちは俺のやり方で締め上げてみたが、敵は目的も雇い主も吐かなかった」
「こちらは、聖子様には非常階段でお逃げになっていただいたのですが……三人の刺客に阻まれ、不覚でございます」
暁が、苦虫を噛みつぶしたような表情を見せる。
感情をあまり見せない彼女だけに、よほど悔しかったようだ。
「一対一でも奴らは手練れだった。いくら暁でも、フォローは限界がある」
「……そこなのよねぇ」
ぐるぐる回していた手をぴたりと止めて、合わせた人差し指を藤井に向けた。
「何がだ?」
「あたしたちの始末なら、火を放つなんて回りくどいことせずに、こっそり部屋に押しかけてマシンガンでも使うか、建物ごと破壊すればよかったはずよ。まあ、成功するかどうかは別にしてね」
「成功率で考えれば、格段に上がるかと思います」
「でしょ? で、思うのよ。このメンバーの中で、非戦闘員なのは聖子だけ。それを知ってて聖子を狙ったのか、もしくは別の理由なのか──」
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