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「おはようございます…」と挨拶した後で、町田は小さくふぅ…とため息をついた。
久しぶりに感情を顕にしたせいか、疲れが抜けていなかった。
「おはようございます!昨日はお疲れ様でした!」
愛子がにこりと笑う。
「あ、愛子さん、おはよう」
「大丈夫ですか?」
「え?」
「なんかだいぶんお疲れみたいやから…」
そう言いながら熱いお茶を淹れ
てくれた。
「ありがとう…」
ズズっと熱いお茶を啜る。
急に自分の年齢を実感してしまう。
「そりゃ昨日あれから中河原先生のとこ行きはったんやから…」
高坂が来て、おはようございます、と挨拶した。
「まあね…」
町田は苦笑いする。
「そうなんですね!そんなに…」
愛子は目を輝かせる。
「な、何もないから!」
町田が言うと「そんな照れんでも!」とバシッと背中を叩かれる。
「あのなぁ…」
もう怒る気力もない。
「おはようございまーす」
元気いっぱいに吉田と山川が現れた。
山川は、中河原の重荷がなくなったせいか心做しかイキイキしている。
「あ、そうだ」
町田は昨夜、中河原から預かった原稿を取り出して愛子に渡した。
「これ、本社にスキャンデータ送っといて。そのあと原本も書留で。」
「分かりました」
愛子は、原稿を丁寧に受け取る。
とりあえず、ヤれば仕事はしてくれることが分かったけれど、何度もあれをするのはなかなか骨が折れるな…と町田はもう一度ため息をついた。
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