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「ほんま、昨夜は楽しかったなぁ…」 「そうですか。それは良かった…」 二人が話すのを聞き耳を立てて愛子が聞いている、に違いない。 「お待たせしましたあ!」 タイミングよく吉田が帰ってきた。 ハァハァと息を弾ませている。 「あ、吉田くん、ありがとう」 愛子はサッと立ち上がり、皿にシュークリームを乗せて運んできた。 「中河原先生、どうぞ」 愛子はニッコリと笑った。 「真壁さん、ありがとう」 中河原も笑顔で応える。 「先生、昨夜は、何がそんなに楽しかったんですか?」 愛子は、流れるように質問した。 「こら!真壁くん、仕事に戻りなさい」 「いいやん、町田さん。あんな、聞きたい?」 「はい!」 愛子が胸の前で拝むように手を組んでいる。 「駄目駄目駄目!先生!いい加減にしてください!」 町田は、中河原の口を塞いだ。 「えー、残念。先生また教えて下さいね」 愛子は、笑顔を見せて席に戻って行った。 「まったく…何考えてるんですか!先生」 手を離すと、指をペロと舐められた。 「うわっ!」 愛子が立ち上がって「どうしたんですか?」と聞いてくる。 「何でもないから!」 町田は、必死に持ちこたえた。 まったく、何を考えているんだ… 町田は美味しそうにシュークリームを食べている中河原を見て、わざと大きな溜息をついた。
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