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酔いに任せて、というのもあったけれど、なんだかこの間から自分を解放したい気分になっていた。 別に特定の相手がいる訳じゃない。 今までは、とにかく駿だけに愛情を注いで来たけれど、こうやって想ってくれる相手にみんな愛情をやっても構わないじゃないか。 町田は隣を歩く山川を、心から可愛いと思えた。 (初めてだから、優しくしてやらないとな) 思いついて薬局に寄った。コンドームとローションを買う。 男二人でこんな買い物をするなんて、まったく俺は…と思いながらも、もう人目は気にならなかった。 『自己解放』 という言葉が浮かんで、気持ちはドンドン軽くなっていった。 「あ、ここのホテルいいんですよ。清潔感があって」 山川が急に顔を上げて立ち止まる。 「そうなんだ。お前もかなり遊んでるんだな」 ニヤリと笑うと、そんなことないです、と赤くなっている。 山川の手をギュッと握りしめて二人でホテルに入った。 並んでいるパネルから中間くらいの値段の部屋を選ぶ。 エレベーターに乗って部屋に向かった。 山川が、緊張で硬くなっているのが分かったので「大丈夫だよ」と優しく声を掛けた。 「嫌だったら無理にはしないし、断る権利はお前にあるから」 そう言ってチラッと山川を見る。 「そんな…断るなんて。せっかく…抱いてもらえるのに…」 最後のほうは、段々と声が小さくなる。 (なんだよ、可愛いなぁ) 町田は、段々と興奮してきてしまった。 部下と関係すると、何かとややこしいのは、男女だけかもしれない。 妊娠や結婚というゴール地点が無いために、男同士は案外シンプルだ。 好きか嫌いか。勃つか勃たないか。 これだけだ。
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