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中河原の家の住所をカーナビに設定して、車を走らせる。 街並みはどこも大して変わらないが、やはり運転が荒い人間が多いように思う。 慎重にハンドルを握る。 途中でコンビニに寄り、中河原が好きだというスイーツを幾つか買った。 本来なら、百貨店や老舗店のスイーツを買っていきたいところだが、時間が時間なので仕方がない。 『まもなく目的地です』 カーナビが淡々と告げる。 「ここか」 町田は、車の窓から上を見上げる。 都会にほど近いところにある高層マンション。 さすが若くて売れただけあって、高そうなマンションだ。 近くの駐車場に車を停めて、エントランスから中河原の部屋のインターフォンを鳴らした。 『はーい』 「あ、ひなた書房の町田です」 『今、開ける』 カチャリとロックが外される音がして、町田は少し緊張する。 …大丈夫だろうか。山川に比べるとオッサンだけれど… とりあえず会ってみないことには… 色々思っているうちにエレベーターが1 1階に到着した。 ___ 「初めまして。ご挨拶が遅くなり申し訳ありません」 町田は、玄関で中河原に頭を下げる。 「いや、そんなんえーよ。何買ってきてくれたん?」 中河原は、すぐに町田の持っている袋に目を向けた。 「あ、シュークリームとプリンと…」 「おー、えーやん。ありがとう」 ガザガサと袋を覗きこむ。 さほど難しい人では無さそうで、町田は、ホッと胸を撫で下ろした。 それにしても…… 中河原は、思った以上に美少年だった。
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