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大阪人は、お喋りでお節介な人が多いらしい。 次の朝。 町田が出社すると、机の上に紙袋が置いてあった。 「ん?何これ」 ガザガサと袋を覗く。 さっきから編集者の山川、吉田、高坂の男三人と、事務員の真壁愛子バツイチ独身が町田の行動を見ている。 「……!」 袋の中には、コンドームとローションが入っていた。 「なんだよ、これ!ふざけんな!誰がやった?」 町田は怒って四人を見た。 「いや、だって必要でしょう?」 山川がニヤニヤしながら言う。 「お前なあ!昨夜大変だったんだぞ」 「え?!何が?何がどう大変やったんですか?」 事務員の愛子が身を乗り出してきた。 「真壁さん……」 愛子は目をキラキラさせている。 どうやら腐女子というやつらしい。 「ま、もう済んだことだから。とりあえずこれは貰っとく」 町田がそれを鞄に入れると「ですよねー」と四人はニコニコ笑った。 関西人というのは、こういうものなのか…と洗礼を受けたような気になる。 ある意味オープンで、どんな人種であれ受け入れる。 ただそれは、自分に損がない場合だけ。 自分自身に降り掛かってくれば、また話は違ってくるのだろう。 とりあえず仕事、と町田はパソコンを立ち上げた。 竹村からメールが届いていて、小山先生の新しいシリーズが始まる、と書いてあった。 駿、頑張ってるんだな… ホッとする気持ちと寂しい気持ちが同時に訪れる。 またこっちでも、頑張って売ってやらないと… 駿のことは、一生を掛けて見守って行こう、と思っていた。
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