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純粋無垢なおとなの思考
私はひまわり幼稚園の先生
ここには不思議な子がいる。
名前は真司という。
でも見た目も女の子だし心も女の子だ。
でも本人は気にしない。
ある日この子は門の前に立っていた。
「何をしているの?」と話しかけると
「この幼稚園に入れて下さい。」と言われた。
「お父さんとお母さんはどこかな。」と聞いてみても今日は来れないの
と言って誤魔化される。
その子は大金を持っていた。
幼稚園の3ヶ月分の入園料だった。
園長先生と話をした結果いずれ保護者が、来るだろう。
ということで、この子を幼稚園に入園させることにした。
しばらくは普通の女の子だと思って接していた。
ただ名前が真司ちゃんって言うだけの普通の女の子として。
その子にお迎えは来なかった。
いつも閉園の時間になると家は近いのでと言って帰ってしまう。
この事を不思議に思い園長に警察に連絡した方が良いのではないか?
と提案したが、そんなことでうちに入園してくれる人が減ったらどうする。
「ただでさえ経営難なのにそんなことできるわけ無いだろ。」
とかき消されてしまった。
うちの幼稚園は、経営難だった。
人工芝だってもう5年も前のものだし、従業員だって私一人だ。
ある日子供達が起きて、お父さんやお母さんがお迎えに来るくらいの時間
真司ちゃんは、「お父さーん」と言って薄汚い色の人工芝のある庭に
出ていった。
私は、やっと来てもらえたかと思い庭に出た。
しかしそこに居た。いやあったのは、人間では無いもの、、、いやかつては、
人間だった物だった。
白骨化した頭蓋骨だった。
私は恐怖のあまり子供達が寝ているにも関わらず大声で
「キャァ」と叫んでしまった。
次々と起きてくる子供をあやすのに精一杯だった。
後ろから「バイバイ」と元気のいい声が、聞こえた。
もう真司ちゃんの姿は、幼稚園のどこにもなかった。
次の日も普通通り真司ちゃんは来た。
ただいつもと違ったのは、両手に白骨化した頭蓋骨を持ってきていた事
である。
私は「そんな物捨てて来なさい。」と言った。
でも真司ちゃんは聞かなかった。
「お父さんを捨てるなんて事できるわけ無いでしょ」
そう言って他の子達と遊び始めた。
さすがにこれはおかしいと思い園長先生に掛け合った。
でもまた「おもちゃに決まってるじゃないか。」とはぐらかされてしまった。
それからしばらくたったある日その日は、真司ちゃんが来てちょうど
7週間目だった。
その日のお昼寝の時間
真司ちゃんは急に立った。いや見え方で言うと立たされた。
上半身から見えない細い糸で、釣り上げられてるような動きだった。
私はあまりの怖さに腰を抜かし金縛りに遭い声も出なかった。
子供達はみんな寝ているし園長先生も外出中だ。
立った真司ちゃんは、手はぶらりと垂れ下がっていて、
目の焦点は合っていなかった。
そして両足を揃えたまま、手の上がっていないキョンシーのような動きで
私のもとに近づいてきた。
そして私の目の前で糸がプツリと切れたかのように
【ドサッ】と音を立てて崩れ落ちた。
その音で私の金縛りは解けて、私は急いで真司ちゃんのもとに駆け寄った。
息はしていた。心臓は動いていた。
私がなにをすれば良いか分からず呆然としいていると
視線を感じた。
それの正体はいつも真司ちゃんが、持ち歩いている骸骨だった。
「楽しかったよ」低いおとなの声で放たれた空気の揺れを
私は聞き逃さなかった。
《END》
解説
真司は女の子のお父さんで白骨化遺体
真司はどうしても娘ではなく自分が幼稚園に行きたかった。
そこで娘の魂を喰らいつくし体を乗っ取り幼稚園に行った。
幼稚園が楽しかった真司は、7日×7週間の49日目
彼岸からの迎えが来る日私にお礼を伝えた。
幼児思いだった私を最も苦しめる方法で、、、
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