きみと生きたい

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「物理学者っていってね、宇宙を研究しているひとがいるんだ。宇宙を全部数字で表すことができるんだって」 「宇宙を……数字で? 掛け算とか?」 「もっと複雑な数式だと思うけど。でも、宇宙を数式で表していくと、綺麗な数字の羅列になるんだって。あたかも誰かが創ったような。自然のことなのに、誰かが創ったようになってるのが解るんだって。それは神さまが創ったんじゃないかって、物理の偉いひとは信じてるらしいよ」 私はちょっとあたまがこんがらがった。 「ん~。でもあたまのいいひとが、いるって信じてるなら、きっといるんだろうね」 「うん。信じればいると思うよ。僕とはるちゃんが同じクラスになるのも、きっと神さまが仕組んだことなんだよ」 私は唯純の手をぎゅっと握る。 「じゃあ、きっと、これからもずっと一緒だね」 唯純は満面の笑みになる。 「きっと、ずっと一緒だよ」 その笑顔に、私は安堵感を覚えた。
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