第3話 オタバレは突然に

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というか、オタクであることを隠そうと必死すぎて、ちゃんと分かってなかったけど。 普通に、推しと1つの布団の中で寝てたって結構ヤバい案件では……!? はぁ……改めて考えると色んな意味で心臓が持ちそうにない。 「とりあえず、今日のところは部屋に戻ってもらって…………って何してるんですか!?」 私が話している間に、勝手に移動したらしい蓮くんは、グッズを飾っている棚の前に立っていた。 「ふふっ……ちっちゃい俺らがいる」 黒の3段ボックスには、色んなグッズが並べてある。 1番上には、今まで出たアクリルスタンドが置いてあって、蓮くんはそれを見て笑っている。 ここに蓮くんが来てから、笑った顔初めて見た……。私に向けて、ではないけどなんだか嬉しいような、くすぐったいような気持ちになる。 手前に飾ってあるのは、デビューシングルと共に発売されたアクスタ。 5人全員が肩を組んでいる写真が使われていて、3年前のだから、みんなの雰囲気も幼い感じ。蓮くんは懐かしそうに、ほほ笑んでいた。 「そもそも、なんで隠そうと思ったの」 グッズを眺めながら、蓮くんは私に尋ねてきた。 「えっと……」 ここにいる間だけでも気楽に過ごして欲しかったこと。 ナイクラのオタクだってバレたら、常に気を張らせてしまうかもしれない。 下宿屋の久しぶりのお客さんでもあるし、ここでの生活が少しでも良いなと思って欲しかったことを、ひとつずつ話していった。
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