幼なじみ

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僕はそのまま顔を出して玄関に向かった。すると先に靴を履いて待っていた暁にいきなりむぎゅっと抱きつかれ、うなじに顔を埋められる。まるで僕の香りを嗅ぐように鼻をすりすりさせると顔を離し、見上げた僕にキスをした。 いや、いつもいってきますのキスはするけれど、こんなのじゃなかったよね? そう思うほどの深いキスをされ、僕は背中を叩いて抗議する。 いつもは触れるだけの軽いキスなのに・・・! 背中を叩くも聞いてくれず、結局息が上がる頃にようやく離れてくれた。 肩で息をしている僕のおでこに、何度も小さくキスを落とす暁。 なんか今日の暁、変・・・。 そう思いながら、僕の息が整った所でやっと家を出た。 そこからは普通で、いつものように話しながら駅まで行き、電車に乗って最寄り駅まで着くと、僕はいつものように離れようとした。なのにその腕を掴まれる。 ・・・また? 今度はなんだろう?と思ったら、暁はそのまま学校に向けて歩き出した。 「見られちゃうよ」 僕はあせって腕を引くけど離してくれない。そういうそばから同じ学校の生徒がこちらを見ているのが見えた。 「一緒に行こう」 「知らないフリはやめるの?」 「やめる」 そして立ち止まった。 「オレの知らないところでヒナが誰かに狙われるのは嫌だ。傍にいられないなら、ヒナはオレのものだって分からせる」 今回の飛鳥とのことで、きっと暁はいろいろ考えたんだろう。 ごめんね。僕がちゃんと出来なくて・・・。 「いいよ。暁の好きにして。僕は暁のものだよ」 こんな道の真ん中でアルファの独占欲を発揮され、それを無条件で喜んでしまう僕って・・・。 見た目はどうあれ、やっぱりオメガなんだな、僕。 そう思いつつ、僕は暁の隣に並んで歩き出した。 そこからまあ、見られること見られること。 暁はとにかく学校の有名人だった。 入学式でスピーチしたので1年生の間で知られているのは当たり前として、他学年や中学の子たちまで、きっと暁を知らない人なんていないんじゃないかと思うくらいみんな暁を知っている。そこに僕なんかが一緒に歩いているものだから・・・。 ものすごく見られている。 なのに暁はそんなのどこ吹く風で、堂々と僕の傍で普通に歩いている。しかもエスコートとしては完璧で、自分は車道側を歩いていて、僕の前に電柱が現れるとすっと僕の腰に手を回して引き寄せて避けさせる。その度に悲鳴に似た声をあげる女子生徒たち。
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