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せいし?
しゃせい?
きょとんとしている僕と自分のをウェットティッシュで拭きながら、暁が困ったよう笑った。
『そのうち分かるよ』
そう言ってべちょべちょになった所をキレイに拭いて衣服を整えてくれた暁は、僕の隣に戻った。そして宿題を始める。
それを見て僕も宿題を開く。
『いやだった?』
鉛筆を走らせながら暁が訊く。
僕もそのまま宿題をしながら首を横に振った。
『気持ちよかった?』
あれはきっと、気持ちよかったんだ。
僕は頷いた。
『また明日してもいい?』
その言葉に、僕の手が止まる。
『明日もしていい?』
もう一度の問いに、僕は小さく頷いた。
そんな僕に満足したように、暁の鉛筆の音はさらに滑らかになった。
そしてそれが毎日の日常に変わった頃、学校で行われた性の授業で、あれがなんであるかを知った。
だからその日、僕は言ったんだ。
『こんなこと変だよ』
いつものようにキスをして、僕のズボンに手をかけてた暁は、その言葉に手を止めた。
『変?』
『だって、今日習ったでしょ?こういうのは好きな人同士がするんだよ。赤ちゃん作るために』
『なんで?ヒナはオレが好きじゃないの?』
僕の言葉に暁の機嫌が悪くなる。
『好きだよ。でも結婚するわけでも、子供を作るわけでもないじゃん』
するとさらに暁の機嫌が悪くなる。
『すればいいじゃん、結婚。ヒナはオレの子を生むのいやなの?』
『結婚て・・・僕男だよ。結婚できないし、子供も生めない』
『男同士だってできるだろ?』
・・・それは第二性がアルファとオメガだった場合だよ。
『僕、絶対にベータだよ。暁はアルファだと思うけど』
暁の両親はアルファとオメガだし、容姿や体格、そして学習、運動面、どれをとってもおそらくアルファだ。でも僕は・・・。
『ヒナはオメガだよ』
『どこ見て言ってるの?こんなチビでガリのどこがオメガなんだよ』
オメガと言ったらすごくキレイな人ばかりだ。暁のお母さんもすごくキレイだし。
『ヒナはオメガっ。オレには分かるんだよ!』
そんな怒鳴らなくても・・・。
それとも・・・。
『もしかしてフェロモン出てるの?』
早い子だと高学年ですでに第二性が表れ始めるって・・・。
『・・・出てないけど』
だよね。出てたらきっと父さんか母さんが気づくもの。
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