友の願い

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 ある朝のこと。家のインターホンが鳴ったので、俺は玄関に向かった。  玄関のドアを開けると、そこに立っていたのはワイシャツにジーンズ姿でメガネをかけている二十代くらいの男だった。その男の姿を見た瞬間、俺の眉毛はピクリと動く。  男は軽く会釈をして喋り出す。 「おはようございます。近くに引っ越しました中西(なかにし)と申します。よろしくお願いいたしま……」  その話の途中で、俺はあることを確かめたくなり男の話を遮った。 「あの、人違いだったら申し訳ないのですが、小学生の時俺と友達だった中西 大和(やまと)君ではないでしょうか?」  その俺の質問に目を見開く男。  そう。俺はその男にかつての友の面影を感じていたのだ。  その友達とは、友達が転校してからは会う機会がなくなってしまったのである。  友達の面影を感じる男は、フッと笑い答えた。 「やっぱり、健太郎(けんたろう)君だったんだね。確信が持てなくて聞くのを躊躇っちゃったよ。君と会うのは、小学四年以来だね。まだここに住んでいたんだね。また会えて嬉しいよ」
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