ショーイチちゃんは?

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ショーイチちゃんは?

 クラス中が聞いていたと思うけど、関心があったのは、私とかよちゃんだけだった。 「加藤、給食のフルーツあげるから詳しく聞かせて!」とお願いしたら、快く知っている限りを教えてくれた。  加藤の父親が新聞で記事を見つけたこと。記事は7月だったこと。おっさんは刺殺されていたこと。おっさんは東京のどこかの川に捨てられていたこと。    加藤の情報は4点だけで、思った以上に少なかった。それに7月の事を、12月になって思い出して言うのかと思った。  給食のフルーツをくれてやるには惜しかったが、約束してしまったからしょうがない。明日のフルーツは加藤の物になる。  かよちゃんと下校して、途中で公園に寄った。  ブランコに乗りながら、かよちゃんはショーイチちゃんの殺害理由と犯人を聞かせてくれた。午後の授業はそっちのけで、推理していたらしい。 「本当にそれって、あのショーイチちゃんのことかな?」  私はショーイチちゃんが生きているような気がしていた。    ブランコの鎖が冷たくて、握る手を痛くした。雨交じりの雪が降ってくる。体が濡れる前にかよちゃんと解散した。  ミゾレの中を手を前後いっぱいに振って走りながら、ショーイチちゃんらしき人が川で死んでいたことを思った。  川の水と黄リンが反応して、その人の体も青白く燃えたのだろうか? もしそうだったらすごくきれいだったに違いない。    明日の水曜日で約6年間通った書道の稽古が最後になる。  そして、最後の書道の稽古は何事もなく終わった。
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