プロローグ

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政治家はバカでかい声で言う。 「第二の性で差別する時代はもう古い!今やアルファもベータもオメガも平等だ。」 担任の先生は最もらしい顔で言う。 「人間はね、産まれた瞬間から平等なのよ。アルファだとかベータだとかオメガだとかは関係ないの。」 この世界では、第二の性に関係なく扱われるらしい。 じゃあ、なぜだろう。 父は、俺がオメガだと分かってから剣道の稽古を厳しくつけなくなった。 母は、俺がオメガだと分かってから家事をやれと言うようになった。 クラスメイトは、俺の性格をオメガらしくないと言って非難した。 結局、アルファは強く誰かを守る者。 そして、オメガは弱く誰かに守られる者という認識は変わらない。 何を持ってして平等なのか、難しい話はよく分からない。 ただ、この世界は俺にとって息のしずらい場所であるという事実だけは確かであるはずだ。 これだけは断言できる。 俺は第二の性なんかにいつまでも囚われ続けているこの世界が、大嫌いだ。
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