私の木

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 やがて雨が止んだ。  雨の重みのせいで、果物が数個木の下に落ちていた。私はそれを丁寧に拾い集める。  街に売りに行くんだ。  この木の果物は特別おいしいわけではないが、癖がなく、とても食べやすいと評判だった。  ジャムにすると少しだけ甘みがたつので、私は集めた数個を売るために、そして残りはジャムにするために、かごの中に取っておいた。  かごは小さくすぐにいっぱいになってしまうので、たくさん売れたら帰りに買ってこよう。そうこころに決めた。 「よし」  私はひとり声を出すと、かごを背負い、歩き出した。少し先で振り返り、「いってきます」と木に声をかけた。  売れ行きはなかなか好調で、自分が思ったよりも大きなかごを買うことができた。  それに満足し、軽くなったかごと足取りで私は家路についた。 「ただいま」  そう私の木に声をかけると、さらさらと風が葉を揺らした。たぶん、返事をしているのだろう。  月明かりが優しく私たちを照らしていた。
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