4 years old

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 青々とした木々のどこかで、たくさんの蝉が鳴いている。  炎天下、神社の境内をあゆみは歩き回っていた。  山の上は空に近く、入道雲にも手が届きそうだとあゆみはいつも思っていた。保育園の皆は知らない、自分だけの秘密だとも。 「ポン吉ー! ポン吉ー!」  思いついたように軒下を覗き込むと、小さく丸まり震えている子だぬきがいた。  きつねにからかわれ、野犬に襲われ、ボロボロになっているところを拾ったのは数日前のこと。  当然ながら人間に対しても警戒心を解けないでいるたぬき。  理由は幼いあゆみにも理解できた。このたぬきは人間の言葉を話す。それだけで、野生には歓迎されない。  あゆみは小さな手を軒下に向かって差し出した。  怯えるたぬきへ向かって、白い歯を見せてにかっと笑う。 「大丈夫だよ、ポン吉。わたしが守ってあげるから、出ておいで」
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