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   * 「てなわけで、二回も助けてもらっちゃったんだよねぇ」 「ラーメンでちゃらな感じなら、いいんじゃないですかね」  相変わらず怜央(れお)は興味なさそうに答える。 「イヤイヤだったかもしれないし」 「イヤなら行かないですよ」 「そう思う?」 「まあ」 「これ、三回目あったらヤバいかも」  怜央は首を傾げた。 「ヤバい、とは?」 「好きになる。いや、もう好きは好きなんだけど、相手のこと全然知らないし、人としてってゆーのかな。でも三回も偶然が続いたら、相手のことをそんなに知らなくてもそれを飛び越えて好きになりそうな気がする」 「運命的なやつですか?」 「そう、それ!」  怜央は無表情のままため息をついた。 「女性は好きですよね、運命的なやつ」 「私は運命というより、偶然が好きかな。気になる人とばったり会ったらうれしいしね」 「俺は好きな人に会えるなら、ばったりだろうがなんだろうがうれしいですけど」  少しもうれしそうでない、無愛想な顔でそんな情熱的なことを言うものだから、私は思わず吹き出した。 「その顔で言うか」 「どんな顔してしました?」 「無表情」 「それは俺の顔のデフォです」  怜央はいつものように薄く笑った。口元だけ綻ばせている。 「怜央にも好きって感情あったんだね」 「俺を何だと思ってるんですか」 「ソースコードみたいな?間違いなく組めば、正しく動作してくれる」 「いや、バグだらけなんで安心して下さい」  また薄く笑い、微かに目を細めた。  突然フロアがざわめき始めてようやく、私と怜央は話を止めて顔を上げる。
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