〈序章〉第3節「カナデ・リコレクション」

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「逃げたぞ!!あの羽の生えた竜人の小娘を追え!殺しても構わん!」 その竜人の小娘と呼ばれる少女は後ろも振り向かず、何も考えずに走り続けた ただひたすらに、必死で走った 体力なんてほとんど残っていない 食事もろくに食べていなかった 否、食べ物すら渡されていない 服は大きなぼろい布切れ一枚と首に繋がれた鎖のみで 彼女は人間にはない羽や角、尻尾 更には人間とは思えない力を持っていた それは人間からすれば呪われた忌み子 そんな彼女は奴隷であり、物同然だった そしてその環境に耐えられなくなり、逃げ出した。 しかし...逃げられる場所も助けてくれる人もいない そんなこと彼女自身も理解していた 彼女は石に躓き、意識を落とした... 「おぉ、スゲーお前あの爆発から生き残ったのかー?」 戦う前に逃げたはずの茶髪の悪魔は奏を覗き込み、とても下品な笑みを浮かべた。 「ははは...まさかあの魔女を抱いてんのかぁ?笑える。そいつ生きてねぇぞ?」 「殺す...」 「あぁ?なんか言ったかぁ?」 わざとらしくその悪魔は笑う。 「......」 「ああ、そうだ。俺、お前らの後始末頼まれてんだよねー!」 「何が言いたい...」 「有効活用してやろうかなーってねぇ?殺しさえすればいいそうなんで何してもいいからさぁ?見た目は好みだしせっかくならぁ...」 そういいながら茶髪の悪魔は奏の細い首にナイフを押し当てた。 「いいねーその表情。たまらなくすきだよ...その反抗的な目とかぁ!」 そうして茶髪の悪魔は少し考えるふりをした。 「まあ先にその魔女かなぁ?」 「''ファイアーボール''」 奏がそう言うと前に現れた火の玉が悪魔の顔面に直撃し、茶髪の悪魔は真後ろに倒れた。 「ってぇじゃねえか!このガキ!!」 その瞬間、奏はリアメルを必死に抱きかかえて走り出した...
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