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「逃げたぞ!!あの羽の生えた竜人の小娘を追え!殺しても構わん!」
その竜人の小娘と呼ばれる少女は後ろも振り向かず、何も考えずに走り続けた
ただひたすらに、必死で走った
体力なんてほとんど残っていない
食事もろくに食べていなかった
否、食べ物すら渡されていない
服は大きなぼろい布切れ一枚と首に繋がれた鎖のみで
彼女は人間にはない羽や角、尻尾
更には人間とは思えない力を持っていた
それは人間からすれば呪われた忌み子
そんな彼女は奴隷であり、物同然だった
そしてその環境に耐えられなくなり、逃げ出した。
しかし...逃げられる場所も助けてくれる人もいない
そんなこと彼女自身も理解していた
彼女は石に躓き、意識を落とした...
「おぉ、スゲーお前あの爆発から生き残ったのかー?」
戦う前に逃げたはずの茶髪の悪魔は奏を覗き込み、とても下品な笑みを浮かべた。
「ははは...まさかあの魔女を抱いてんのかぁ?笑える。そいつ生きてねぇぞ?」
「殺す...」
「あぁ?なんか言ったかぁ?」
わざとらしくその悪魔は笑う。
「......」
「ああ、そうだ。俺、お前らの後始末頼まれてんだよねー!」
「何が言いたい...」
「有効活用してやろうかなーってねぇ?殺しさえすればいいそうなんで何してもいいからさぁ?見た目は好みだしせっかくならぁ...」
そういいながら茶髪の悪魔は奏の細い首にナイフを押し当てた。
「いいねーその表情。たまらなくすきだよ...その反抗的な目とかぁ!」
そうして茶髪の悪魔は少し考えるふりをした。
「まあ先にその魔女かなぁ?」
「''ファイアーボール''」
奏がそう言うと前に現れた火の玉が悪魔の顔面に直撃し、茶髪の悪魔は真後ろに倒れた。
「ってぇじゃねえか!このガキ!!」
その瞬間、奏はリアメルを必死に抱きかかえて走り出した...
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