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「えぇ、何この子?!ボロッボロじゃん...もしかして竜人?」
その女性は貧相なその姿と対照的に背中にある大きな翼を広げていた彼女を見て驚いた。
「とりあえず移動させてあげないと...」
そして女性は丁度いい所にある近くの木陰に、そっと移動した。
「んん...」
「ん?起きた?君、あそこで倒れてたけど...どうしたの?」
「来ないで......」
彼女は手を突き放し、相当酷く怯えていた。
「えっ...?早々に嫌われたぁ!?私って怖いのかなぁ...」
「...?」
彼女は首を傾げる。
「んーと...離れていてもいいから聞かせて?君名前は?」
「名前......?」
そう聞かれ、彼女はさらに少し首を傾げた。
「思い出せない...」
「もしかして!!''キオクソウシツ''ってやつ!?」
いきなりテンションが上がった様子で、その''変な''女性はいつの間にか近づき、彼女の目の前でその目を輝かせていた
「違う...記憶はある...」
「''キオクソウシツ''ではなかったかぁ...」
その女性は予想が外れたのか、しょんぼりしている。
「取り敢えず名前は置いといて...君、なんで倒れてたの?」
「......」
「言いたくないなら無理して言わなくても大丈夫だよ?」
「逃げてた...」
「誰から?」
二人がそんな話をしていると少し小さな音で、遠くから声が聞こえた。
「あのガキこっちに逃げてったよな?」
「足跡がある!そっちだ!」
少し離れた所から、そんな会話が聞こえた。
「助け...て......」
彼女はとても震えた声でそう言ってその女性にしがみつき、両手を握りしめた。
「あいつらね?」
「そう...」
「あそこの変な魔法使いが何か知ってるかもしれねえ!いくぞ。」
「あんたら!何してんのよ!!」
リアメルがそう言って耳が痛くなるほどの大声で少し遠くから怒鳴りつけた。
「おい、その白髪の魔法使いの後ろにいる奴じゃねえか?」
「こりゃあ楽で助かるぜぇ...悪い事ぁ言わねえ、その小娘こっちによこしな!じゃねえとお前もこの小娘みたいになるぜぇ?」
その男は笑っている。
「いいわよ...返してあげる。私は面倒ごとは嫌いだし...」
「嫌ぁ...」
「作戦があるの...一旦流れに付き合って。」
小声で彼女に魔法使いがそっと耳打ちした。
「話が早くて助かるぜぇ」
男がにやけながらそう言った途端、魔法使いはどこからか銀色に輝く、少し派手なナイフを服の裏からそっと取り出し、さり気なくその男の首に当てた。
「さあご聞かせ願おう。あの子に何をした?」
「い、いきなり何すんだてめえ!」
「聞いた内容に答えてくれる?」
「し、知らねえよ!」
男が少し怒り気味にそう言うと、その言葉に反応して魔法使いは握りしめているナイフで少しだけ、その男の首を擦った。
「わ!分かった言うから力を抜いてくれ!その小娘は奴隷だ!分かったら早いとこ手放しな!そいつは忌み子だ!呪われるぞ!」
「はぁ?なら別に私の実験台にしたっていいわよね?」
魔法使いはそういいつつ相当不気味な笑みを浮かべる。
それはまるで誰もが魔女のようにも思えるほどに。
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