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「それは...」
「それと私が白星の''リアメル''って知っての態度でしょうね?」
「チッ...あの狂った魔法使いかよ...」
「私ってそんな呼ばれようなの?ひっどーい...」
そんなこと全然気にしていないという風な様子で、リアメルが少し俯いてそう言う。
しかしその本人は実はそのことを一番気にしていた。
「でもうちの奴隷だ...ただじゃ渡さねぇぜ!!」
「はぁ...仕方ない銀貨12枚でどう?」
※現実世界での24000円程度
「いくらなんでも30枚はいただかねぇとなぁ?」
「無理ね、あんたが今どんな状況か分かってる?貰えるだけありがたいと思いなさい。」
男はその言葉に怖気づいたのか、少しの間沈黙が続いた。
「............ああ...分かった。」
「それでいいのよそれで。じゃあこれ置いていくからバイバイ!」
そう言ってリアメルは12枚であるはずの銀貨を5枚だけばら撒いて全速力逃げていった。
「あ!おいクソ尼!」
男がそう叫んだ頃にはもうすでにリアメル達はいなかった。
「いやぁ、あいつら馬鹿だね。竜人の子どもなんて奴隷でも白金貨3枚にはなるのに。」
「はくきんかさんまい?」
「パンが5万本くらい食べられるほどの価値?」
リアメルのその言葉を聞いた途端に、彼女の腹の音が少し大きく鳴った。
「あー...お腹すいた?」
そう聞くと相当お腹が空いているのか、彼女は強く頷いた。
「''転移''」
「''ミストレイク''」
リアメルがそう唱えた途端に緑の多い景色が突然に一変した
そこにはまだ新しい石とレンガや木の建物や透き通った水の溢れる大噴水、白と色とりどりの目立った色の旗などがいくつもある。
一つのとても栄えた大都市であった。
そしてその景色に彼女は感動していた
奴隷のような鎖を付けられた人でも何の不自由も無く、むしろ楽しそうに街の中をうろついていたのだ。
「どうしたの?」
「すごい...」
「あー、こういう景色は珍しいのかな?」
しかし彼女は彼女の想像を絶するほど素晴らしいその街に見惚れ過ぎて何も聞こえていないかのようだった。
「とりあえずそんな服だと不憫だと思うし服買ってあげるよ。」
「いいの...?」
「むしろ普通の服着てくれないと変な噂立てられるかもしれないからね...」
「ありがとう?」
そして、いくつかの服と護身用の小刀やその他の冒険道具らしきものをを買い揃えた。
そして昼食をとったり、リアメルと共に大きな街を散策したり、宿を予約したりで日が少しずつ沈み始めた。
「さーてっ!ロイトと合流するかなぁー」
「ロイトって誰なのぉ?」
「正義の勇者だのと噂されてる声の大きいバカよ?」
「勇者...なんかかっこいい?」
「中身があれじゃあ台無しだけどねー」
リアメルのその発言に彼女は意味が理解できなかったのか、首を傾げた。
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